学べる
松井秀喜選手のMVPを取るまでの経緯や、苦労があった話など、本にするから語って頂ける面が

多く含まれていて良かったです。　そして、壁を一つ一つ乗り越えて行く上での指針や根幹と

なっている体験や考え方などが学べてとても勉強になりました。



薬物を使うメジャーリーガー
バリー・ボンズ、ジェイソン・ジアンビ、マニー・ラミレス、そしてアレックス・ロドリゲス。数々のスター選手に薬物使用が発覚、または疑惑に晒されている。疑惑といえばアルバート・プホルスもだ。皆、毎日のようにハードな試合をやってて、いくら外国人とはいえ、いつそんな筋肉が付くのか、一体どんな鍛え方しているのっていうぐらいい体をしている。最近は検査もかなり行き届いているようだが、他のスポーツの検査基準から見れば、まだまだ甘いようだ。暴露本を出したかつてのメジャーリーガーホセ・カンセコは、大リーグの選手全体の、約7割は使っていると言っていた。今はそこまでいってはいないとは思うが、それでもかなりの人が使っていると思う。検査日も漏れている場合もあるようだ。そんな人達と日本人メジャーリーガーは戦わなければならない。特に松井秀喜はホームランを期待される。彼はいつも自分のやるべき事に立ち向かい、戦ってきた。打つ瞬間に動くボールに対応するため、今までの巨人時代に培ってきた、バッティングスタイルをあっさり捨て去り、ホームランを狙わず、ライナー性の強い打球を打つ事にこだわってきた。薬物を使用した人なら、少々バットの芯から外れても、ホームランにすることが出来るだろう。ある大リーグに詳しい評論家が、「ホームラン20本打てば40本分の価値があるだろう。」と言った。多少オーバーではあるが、その人は大リーグの現状を知ってて、敢えて松井にそう助言したらしい。度々、努力の天才と称される松井。日本人離れしたパワーは彼の潜在能力だが、打つ瞬間に動くムービングボールを打つ能力は、紛れもなく彼自身の努力の賜物だ。彼の手にはマメがない。彼自身の(及び長嶋茂雄氏)理論では、マメが出来るのはスイングが理にかなっていないかららしい。試行錯誤の中、理にかなったスイングが出来て初めてマメを消すことが出来たようだ…。

バーニー・ウィリアムスから謝罪されるヒデキ
2010年初戦の松井選手のホームランで本の購入を決めました。

タイトルの言葉にはジーターの存在が関係しています。

本の中の、その一連の出来事にびっくりしました。

ジーターは７回２００本安打を超えていて（イチローは９年連続）、ポストシーズンでは史上最多の安打数、ワールドチャンピオンには５回輝いているそうです。

松井選手の大リーグ1年目、右も左もわからないヒデキに彼は、「お前がガッジーラか。今日からおれをジーと呼んでくれ。ニューヨークでは球場まで車で乗せていってやるよ。」と誰よりも早く声をかけてくれたのです。同じ年齢のジーターとの素晴らしい思い出も語ってくれています。


昨日のヤンキースタジアムでのチャンピオンリング贈呈式、ヤンキースナインが松井選手へ駆け寄り全員とハグしたあの感動の瞬間、一生忘れられません。

本には２００９年のシーズン終了後、「『来年も同じチームだよな、マツ！』と言われて以来話していませんが、今度顔を合わせるのは開幕直後のヤンキースタジアムでの試合でしょうか。２０１０年のシーズン、ジーターと対戦するのが楽しみです。」という文章があり、正に昨日、テレビではジーターとハグするマツがいて、松井選手の気持ちを思うと涙がこみ上げてきました。


この本を読むならシーズンが始まったばかりの今読んでください。

２００９年のワールドチャンピオン後に書かれていますので、ホカホカの松井選手の気持ちや想いが伝わってきます。

これを読みながらテレビで観戦すると、松井選手はもちろん広岡広報、ロヘリオ通訳、そして恩師トーリ監督（エンゼルスへの移籍もトーリ監督のアドバイスがあった！）など、松井選手を支えるたくさんの方々の気持ちも手に取るようにわかり、ますます応援に力が入ります。


手首、両膝の手術を経て、今日もひたむきに海外でプレーしている日本人がいます。

彼は日本の誇りです。

私も頑張ります。

信念を貫きます。

そう思わせてくれる素晴らしい本です。